第19回「ひとつのものを創るチーム」

立場や環境、関わる人や稼ぐ金額によって、つい人は勘違いをしてしまいます。

人の成功に嫉妬したり、うまくいかないことは人のせい、足の引っ張り合い、成果は自分の賜物、という醜くも人間らしい一面は誰にでもあると思います。

私自身、fucicaを立ち上げるまではサラリーマンをしてきて、いわゆる大手で働いていた頃はそれを嫌と言うほど味わってきました。

「YUKO」という個ではなく、「〇〇会社のYUKO」に価値があると言うことに気がついていませんでした。

そんな勘違いをしながら独立をしてからというもの、

所詮一人の人間としての力量なんてものはたかが知れていて、たくさんの挫折と失敗をしました。

実は今もしていますし、これからもするでしょう。

でも、それがいいんです。

それが私らしい、と思えるようになってきました。

そうでないと、自分が前に進めないと思うからです。

そして、ヘアメイクとしての自分は、また違う視点で仕事をしていることに気がつきました。

fucicaというブランドを背負い、その世界を確立するための苦悩とは違い、
依頼されたブランドの一因となって、そこに没頭し、チームでクリエイティブを創っていくこと。

ブランドデザイナー、フォトグラファー、モデル、アシスタント、ヘアメイク。
光の当て方やシャッターを切るタイミング一つ、表情やポージング、スムーズな撮影をするためのサポート、主役を引き立たせるヘアメイク。

全員が一丸とならなければそのブランドの世界を創ることはできません。

【tactor】https://www.tactor.jp/collection/2022ss/


2022 SS Collection “pause,

今回は、アパレルブランドtactorのヘアメイクのお話です。

デザイナーである山本奈由子さんは、普段とてもしなやかで温厚で、心と視野の広いお酒大好きな素敵な女性なのですが、

ご自身のブランドのことになると一変、何も恐れず自分が納得のいくものをひたすら追求する鬼と化する真摯な姿勢が大好きですし、

とても共感するのです。

そんな彼女からのオファーを受けない理由はなく、依頼を頂いて0.1秒でやる!と決めました。

今回の2022 SSコレクションは、心も体も物理的に立ち止まらざるを得ない状況でも、

それでも前を向いていく彼女の苦悩と世の中に対する鬱憤を感じるコレクションだと思いました。

そんな自分に正直なところもまた、彼女の魅力です。

創る人間を知り、ブランドを知り、一緒に未来を話す。

「撮影」というものは、実はゴールがありそうでない現場です。


振り返って、「あれ、ちょっと違かったかも」なんてこともあるけれど、

それを話してもっといいものを創ろう、がチームなんだなと思います。

各々のプロフェッショナルと仕事をする中で、

ヘアメイクという仕事がまた「YUKO」を育ててくれるのだなと実感しました。

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